- ストレッチポールの使い方が知りたい。
- 走っていて膝が上がりにくい気がする。
- 走り方がぎこちない感じがする。
- 最近リラックスできていない。
- 疲労が溜まって身体が重い。
今回はそんなお悩みを解決します。
- ストレッチポールでランニングフォームが改善する理由
- ストレッチポールの間違った使い方3つ
- ストレッチポールの正しい使い方とコツ3つ
- ストレッチポールはハーフカットが断然おすすめ
本記事の執筆者

ふかまると申します。元箱根駅伝選手、ランニング歴は20年以上。小学生〜大人まで指導経験があります。
ストレッチポールはランナーにオススメしたいケア用品ナンバーワンです。
はっきり言って「一家に一本常備すべきアイテム」と言っても過言ではありません。
なぜならストレッチポールは「腰や背中といった自分の手が届きにくい部分のケア」に非常に優れているからです。勿論、私も毎日ストレッチポールを使っています。
しかし、このストレッチポールの使い方、意外と難しいんです。
実際に私が指導させて頂いた方々のほとんどは、間違った使い方をしていました。おそらく、正しい使い方を習う機会がなかったからでしょう。
間違った使い方をすると、一瞬筋肉が緩んだように感じても、また固くなってしまうこともしばしば。つまり、一生懸命ケアをしていても効果がないどころか、逆効果になる可能性だってあるんです。
それに意外と知られていませんが、ストレッチポールを正しく使うことができれば、ケアだけでなくランニングフォームの改善にも繋がります。せっかく時間を使ってケアするなら、走力もアップさせたいですよね。
そこで今回は「なぜストレッチポールなのか」や「ストレッチポールを正しく使うコツ」などをお伝えしていきます。
- 最高のランニングのための科学 ケガしない走り方 歩き方 / マーク・ククゼラ
- 200万人が効果を実感したトレーニングメソッド 公式ストレッチポール&ひめトレBOOK / JCCA , 日本コアコンディショニング協会(監修)
- スタンフォード式 脳と体の強化書/ 山田知生
ストレッチポールにはランニングフォーム改善の効果がある
ストレッチポールにはケアだけでなく、ランニングフォームの改善の効果があります。
その理由はストレッチポールを使うことで筋膜を緩め、全身の筋肉を効率よく使えるようになるから。
医学博士のマーク氏は自然なランニングフォームを身につけるには次の要素が重要と述べています。
- 賢明なペース調整
- 体内のバネを上手に使う
- してはいけない着地の仕方を理解する
- 裸足や薄底シューズで足部の機能を高める
- 筋膜に気を配る
”筋膜”とは、筋肉を包んでいる膜のこと。筋膜は筋繊維や器官、神経などとも連結しながら全身を覆っています。
では、「他のケア道具ではなく、なぜストレッチポール」なのでしょうか?
「いやいや、ふかまるさん、私はケアの方法だけ知れればいいんです」と思われるかもしれませんが、「ストレッチポールのアプローチがなぜ効果的なのか」という理解がなければ「間違った使い方」に繋がってしまうので、はじめにしっかりと理解することが重要なんです。


ストレッチポールが優れているのは「形状」と「素材」
まず、ストレッチポールが優れているのは円柱型の形状。
ストレッチポールに仰向けに寝ることで、脱力しながらランナーにとって最も重要な背骨周辺の筋肉を緩めることに最適です。
次に、ストレッチポールの良い点はその柔らかい素材。
体重の圧を加えても痛くないほどに柔らかく、筋肉に刺激を加えられるほどには固い素材で作られています。



あまり大きな声ではいえませんが、体重を加えて痛みが出るような素材のタイプのローラー(突起物がありゴツゴツした硬めのものなど)や柔らかすぎる廉価タイプはあまりおすすめしません。
筋膜を緩めればストライドが自然と伸びていく
筋膜は複数の筋肉にまたがって複雑に絡み合っているとお伝えしました。つまり、それは固くなっている筋肉を緊張させている別の筋肉があるかもしれないということ。
ストレッチポールを使って背骨周辺の筋膜をほぐせば、自然とその他の関節が調和して動きやすくなります。勿論、それでも筋膜が固い箇所にはアプローチする必要があります。ですが基本的には背骨周辺の筋膜を中心に適正な状態にすれば、全身の筋膜が緩みやすくなるのです。
つまり、ストレッチだけでは補いきれない部分のケア、特に背骨周辺の筋肉をほぐすことにストレッチポールは最適なのです。
実際にストレッチポールの効果を調べた様々な研究から、次のようなことも分かっています。
- 背骨を正しい位置に整える
- リラクゼーション効果が得られる
- 股関節や肩関節の可動域が上がる
- 呼吸しやすくなる
そしてこれらの効果が組み合わさって、ウォーキングやランニングのストライド(歩幅)が自然と伸びていきます。つまり、ランニングフォームの改善に繋がるのです。



効率的なランニングフォームを作ることは一朝一夕には叶いませんが、努力すれば誰しもが身につけられるもの。まずは、ストレッチポールで全身をほぐすところから始めてみましょう。


ストレッチポールの間違った使い方3つ
まずストレッチポールの間違った使い方をご紹介していきます。
3つとも共通して言えることは、「全身の筋肉が調和して動きやすくなる」という観点が抜け落ちている点。
すでにご使用されている方は、自分が当てはまっていないかチェックしてみてください。
①押し当てる圧が強すぎる
「強い圧でグリグリと押し当てれば筋肉はほぐれる」「痛い方が筋肉はほぐれる」と思っている方。
その使い方、間違っています。
実はストレッチポールの使い方で最もありがちな間違いがこれ。
筋肉は強い刺激に対して一瞬緩みますが防御反応でまたすぐに固くなってしまいます。なぜなら、筋肉が局所的に固くなっているのは、身体が必要だと感じているから。そのため適切な圧で緩めることが大事。



頑張ってほぐすのではなく、リラックスして緩める。痛気持ちいい範囲の圧で行いましょう。
②長時間使う
マッサージはやればやるほどいいものではありません。
あまりに持続的に筋肉を圧迫すると、組織が潰され内出血を起こす危険性もあります。そのような状態を挫滅と言います。絶対にやめましょう。



『スマホで動画を見ながら1時間同じ部位をポールでグリグリとほぐしました!』←これ最悪です。ご覧になっている方は気をつけましょうね。。
③上半身を力んで使う
例えば、股関節を緩めようとして、背中をガチガチに固める姿勢をとり続けていたら本末転倒ですよね。
なので、基本的には全身をリラックスできる姿勢を維持することが重要。とはいえ圧を与えながらリラックスするのって意外と難しい。なので、筋力を使って圧を加えるのではなく、自分の体重を上手く使って圧を加えるようにしましょう。
ストレッチポールを使うコツ3つ
いよいよ本題。まず「使い方のコツ」を3つご紹介します。
①とにかく脱力を意識する
ストレッチポールを使って筋肉を緩めるときは力を入れるのではなく、力を抜くことが大事。
特に忙しいビジネスパーソンや主婦(主夫)の方々は脱力をすることを忘れがち。ストレッチポールの上で脱力する感覚を確かめましょう。
②呼吸をうまく使う(IAP呼吸法)
脱力と言われても難しいという方は、スタンフォード大学で提唱された「IAP呼吸法」を上手く使いましょう。
「IAP呼吸法」で深くゆっくりした呼吸ができれば、よりリラックスした状態になります。リラックスした状態で適切な圧を加えてあげれば筋肉は自然と緩んでいくのです。「IAP呼吸法」というとなんだか難しそうですが、簡単なので安心してください。笑
「お腹を膨らませて4秒吸って6秒吐く。」
基本的にはそれだけ。
「4秒吸って6秒吐く」という秒数設定は、吐くことを意識するため。日頃から「吸う」ばかりになりがちな現代人は「吐く」ことが足りていないからです。
その他のポイントは次の通り。
- 鼻から吸って鼻から吐く
- 吸ってから一瞬呼吸を止めてもいい



IAP呼吸法には自律神経を整える効果もあります。夜寝る前にストレッチポールに乗ってIAP呼吸法を行えば、副交感神経も高まり、寝付きも良くなるでしょう。
③小さな動きで緩める
身体が固い人にありがちな思考なのですが、「大きな動きや強い刺激でないと筋肉はほぐれない」と思っている方が多いです。しかし、それは全くの逆。「小さな動きや弱い刺激で筋肉はじわじわとほぐれていくもの」なのです。
確かに、少し痛みを伴うような強い圧のマッサージが必要な時もあります。しかし、その場合は奥にある筋肉にとっては、ちょうど良い刺激なのです。その点、良い治療家はピンポイントで筋肉を狙って適切な圧を加えることがとても上手。
ですがセルフケアでそれは難しいので、筋肉を弱く小さな刺激で筋肉はじわじわと緩めていくことが大切です。



すでに身体の奥の方の筋肉まで固まってしまっている場合は、大人しく治療家のマッサージを受けることをおすすめします。
ストレッチポールを使った7つのワーク
それでは今回はストレッチポールの上で背骨周辺の筋膜を緩める7つのワークをご紹介します。
・基本姿勢
①ストレッチポールの端にお尻を乗せ、ゆっくり仰向けになる
②ポールの上で一番安定する場所を探す
③膝は立て膝にして、足幅は腰幅と同じぐらいにします。
1、胸開き運動(上半身)
床に肘をつけ、深い呼吸を意識しながら「ゆっくりと両手を広げ、戻す」を繰り返します。
2、床磨き運動(上半身)
肘と手の甲が床についたままの状態で腕全体を使って、深い呼吸を意識しながら「手の甲で小さな円を描くように動かします。」
3、鳥の羽ばたき運動(上半身)
基本姿勢から、前へならえをするようにして手を天井に向けて伸ばし、
呼吸を吸いながら引き上げ、吐きながらゆっくりと戻します。
4、ワイパー運動(下半身)
基本姿勢から、両足を伸ばします。
足幅を少し開き、深い呼吸を意識しながら「かかとを軸にして両足を内外に小さく揺らします。」
決して勢いよく揺らさないこと。
5、膝ゆるめ運動(下半身)
基本姿勢から、両足を伸ばします。
両足の力を抜いて、かかとを床につけたまま深い呼吸を意識しながら「膝をゆっくり曲げ伸ばしします。」
6、小さな揺らぎ運動(全身)
基本姿勢から、両足を伸ばします。深い呼吸を意識しながら、全身で左右に小さく揺れましょう。
肩甲骨の間をストレッチポールが転がるようなイメージで動かすと気持ちよく脱力ができます。
揺れが大きくならないように注意しながら行いましょう。
7、足あげ運動(全身)
基本姿勢から、前へならえをするようにして手を天井に向けて伸ばし、深い呼吸を意識しながら片足ずつゆっくり上げていきます。身体がリラックスした状態で足あげ運動をすることで、インナーマッスル(腸腰筋)をより刺激しやすくなります。



腸腰筋はランニング時に足を上げる筋肉。
緩めるだけでなく、刺激することでストライドが更に伸びていきます。
ストレッチポールはハーフカットが断然おすすめな理由
今回はランナーにとって最も重要な背骨周辺の筋肉を緩める使い方をご紹介してきました。今回のように仰向けになる使い方の場合では、円柱タイプよりも半円のハーフカットタイプが断然オススメです。
その理由は2つ。
- 足を伸ばすと、ふくらはぎが地面につくので腰が反らさないため脱力できる。
- 平面で支えるため安定することで、より安定できるので脱力できる。
つまり、より脱力できるのはハーフカットタイプなのです。
どちらのタイプも持っていないという方はハーフカットタイプの購入をオススメします。



私は円柱タイプとハーフカットタイプの両方を持っていますが、基本的にはハーフカットタイプを使用しています。
円柱タイプはバランストレーニングや股関節周辺の筋膜を緩めることに優れていますが、やはり背骨周辺の筋膜を緩めるという点においてはハーフカットタイプが優れています。
ランニングフォームのチェックにはランニングマシンがおすすめ
今回はストレッチポールのワークをお伝えしてきましたが、気になるのはランニングフォームが改善されたかどうかですよね。正しい方法を続けていれば「走りやすくなった」「身体が軽くなった」という感覚を感じて頂けると思います。ですが、それに加えて客観的なデータで変化を実感したいという方にはランニングマシンを使うことをオススメします。
ランナーとして感覚を磨くことは重要ですが、感覚だけを頼りにしていてはバランスの悪さに気づかずケガをしたり、走力アップを阻害したりしてしまいます。特にコーチがいない市民ランナーの方は、日常的にランニングマシンを使ってフォームチェックすることによってケガ予防や走力アップに繋がるのです。


まとめ
今回は「ストレッチポールの使い方とコツ」についてご紹介させて頂きました。
ストレッチポールを正しく使うことができれば、ケアだけでなくランニングフォームの改善にも繋がります。
ランナーにとってセルフケアを充実させることは走ること以上に重要なことです。より快適なランニングライフを送れるためにもしっかりセルフケアをするようにしましょう。きっとそれが走力アップにも繋がるはずです。
今後もランナーのためのお役立ち情報をより深く、より丁寧に発信していきますので「ふかまるRunning Blog」をチェックして頂けると幸いです。
それでは、また次回!