- ランニング後にどんなケアをすればいいか分からない。
- ランニングをするとすぐ脚が痛くなってしまう。
- 疲労回復のためのセルフケアを知りたい!
- 科学的に正しいケアを教えてほしい!
今回はそんなお悩みを解決します。
- ランニングでケガを防ぐための4つの考え方と対処法
- ランニング後にするべき簡単セルフケア5選
本記事の執筆者

ふかまると申します。元箱根駅伝選手、ランニング歴は20年以上。小学生〜大人まで指導経験があります。
気持ちよく走っていた矢先に足の痛みが。。。
そんな経験、ランナーなら一度はあるのではないでしょうか?そう、ランニングと切っても切れないものといえば「ケガ」です。2、3日休んで治るような軽いケガならまだいいですが、長引くケガは気分が落ち込みますよね。。さらに日常生活でも足が痛み、「何のために走っていたんだろう」と気持ちが塞ぎこんでしまうことも。
実は私も学生時代、ケガが多いランナーでした。なのでケガをした時の辛い気持ちは痛いほどよく分かります。当時からケガを防ぐために試行錯誤し、多くの書籍を読んで勉強したり、治療院に山ほど通ったりしていました。(今でもメンテナンスとして時々通っています。)その結果、「どんな時にケガのリスクが高まるのか」を経験則として学ぶことができ、大きなケガをすることは無くなりました。
とはいえ、忙しい市民ランナーの方には「そんな時間もなければ、お金もかけたくない」という方も多いでしょう。
そこで今回は私の経験則と科学的な知見から「ランニングでケガを防ぐための4つの考え方」と「ランニング後にするべき簡単セルフケア5選」をお伝えしていきます。
ランニングのケガを完全には防ぐことはできないかもしれません。でも、正しい知識によって防げるケガはたくさんあります。
- 最高のランニングのための科学 ケガしない走り方 歩き方 / マーク・ククゼラ
- PEAK PERFORMANCE 最強の成長術 / ブラッド・スタルバーグ
- Good to Go 最新科学が解き明かす、リカバリーの真実 / クリスティー・アシュワンデン
ケガを防ぐためには負荷と休息のバランスが一番大事
ではまず「そもそもケガをしてしまうのはなぜか?」について簡単に説明していきます。
トレーニングの基本理論は「負荷を与えることで筋肉が破壊され、時間を置いて修復することで元の状態よりも強くなる」というもの。しかし、「負荷に対して休息が追いつかない状態」になると身体は強くなるどころか、慢性的なストレスとなり、ケガのリスクが上がります。
つまり言い換えるとケガをする場合、次のいずれかに当てはまるということ。
A:負荷が強すぎる
B:休息を取らなすぎる
さらにこれらの要素を分解すると、次のようになります。
A:負荷が強すぎる場合
→①トレーニングの強度が高い
→②ランニングフォームの効率性が悪い
B:休息を取らなすぎる場合
→③休息の頻度が低い
→④リカバリーの質を高める行動が少ない
この4つにアプローチする考え方こそが「ランニングでケガを防ぐための考え方」になるのです。
ランニングでケガを防ぐための4つの考え方と対処法
それでは、ランニングでケガを防ぐための4つの考え方と主な対処法について見ていきましょう。
①トレーニングの強度が高い
「ランニングによって繰り返し与えられる負荷」が強すぎれば筋肉は損傷してしまいます。
そのため、まずは「トレーニングの強度(ペースや時間)」を考える必要があります。普段から走っている人はトレーニング強度を高めてもケガをしにくいですが、それでも極端に高い強度のトレーニングはケガのリスクが上がります。
そして言わずもがな、ランニング初心者が急に負荷を上げるとケガのリスクが急上昇します。
そのため、経験ゼロの方はまずは30分速歩するところから始めるのがいいでしょう。


②ランニングフォームの効率性が悪い
ケガが多いランナーは「各関節への負荷」を気にかける必要があるでしょう。
なぜなら、十分な筋力があっても、膝関節に負荷が集中していてはいずれ膝を痛めてしまいまうからです。
つまり、負荷を分散させるような効率の良いランニングフォームを身につけることが重要になるということです。


③休息(イージーラン)の頻度が低い
破壊された筋肉を修復する時間を取ること、つまり「休息の取り方」を考えることはケガを防ぐ上でとても重要です。
しかし、熱心なランナーの中には「休むことに罪悪感を感じてしまう」という方が多くいらっしゃいます。ですが、医学博士のマーク氏は「リカバリーとはトレーニングである」と語るくらい、リカバリーは重要。ケガを防ぐためにもトレーニング後は回復するまできちんと休むことが重要です。
「とはいえ、ふかまるさん、毎日走っているランナーもいるじゃないですか」と思われるかもしれませんが、そのようなランナーの方にとって、一回のランニングの強度が低くなっているのです。
つまり、「効率的なランニングフォーム」と「最低限の筋力」によって、一回のランニングがそれほど負担になっていないということ。そのような方は低強度と高強度のトレーニングを組み合わせて、「トレーニングの頻度」を調整することが重要です。笑って話せるくらいのペースで走る『イージーラン』の日を設け、メリハリをつけましょう。
曜日 | メニュー |
---|---|
月曜日 | 40分イージーラン |
火曜日 | 30分ラン+坂ダッシュ×6 |
水曜日 | 休み |
木曜日 | 40分イージーラン |
金曜日 | 40分イージーラン |
土曜日 | 90分ロングラン |
日曜日 | 休み |



私のイージーランは6’00~5’30/kmで40分〜50分ジョグ。「もっと速く走りたいなぁ」という気持ちを抑えながら近所の不整地を中心に走ります。


さらに、ランナーは「身体の声に耳を澄ますこと」もとても重要です。なぜなら、疲労をコントロールすることはとても難しいから。
ある研究によれば、心理的ストレスも筋肉に悪影響を及ぼすそうです。つまり、トレーニングの負荷や休息の取り方だけでなく、コントロールできない日常のストレスによってケガのリスクは高まるということ。
特にランナーは真面目な方が多いので、計画通りに走れない=サボる=良くないことだと感じてしまう人も多いのですが、走っている最中に疲れていると感じれば、計画を変更して臨機応変に休息日(イージーラン)を決めていくこともケガを防ぐ上で大事なことです。
④リカバリーの質を高める行動が少ない
そして、より少ない休息で筋肉を修復させるためには「リカバリーの質を高める行動」が重要になります。
トレーニングをしていない時には様々なセルフケアや良い食事や良い睡眠を取ることによってリカバリーが促進されます。
当然、トップアスリートもリカバリーの重要性を意識しています。
『私がこの数年間で急速に力をつけることができたのは、練習以外の時間に疲労回復に努めたからです。トレーニングの合間に自分をどうケアするかで、次のレースで力を発揮できるかどうかが決まるのです。』
アテネオリンピック女子マラソンで銅メダルを取ったディーナ・カスター
つまり、リカバリーの質を高める行動がより強度の高いトレーニングを行うコツになるのです。
ランニングでケガを防ぐための4つの考え方と対処法(まとめ)
以上をまとめると、ケガを防ぐための対処法は次の通りになります。
①トレーニングの強度を適切なものにする。
②ランニングフォームの効率性を上げる。
③休息(イージーラン)の頻度を適切なものにする。
④リカバリーの質を高める行動。



今回の記事では「④リカバリーの質を高める行動」にフォーカスして、「ランナーにしてほしい簡単セルフケア5選」をご紹介していきますね。
ランナーにしてほしい簡単セルフケア5選
それではリカバリーの質を高めるための行動として、簡単セルフケアを5つご紹介していきます。
- ストレッチポールで背骨周辺をケアする
- フォームローラーやボールで足裏や股関節周辺をケアする
- 静的ストレッチ
- 温浴(交代浴)
- 良い睡眠をとる
それぞれについて見ていきましょう。
1.ストレッチポールで背骨周辺の筋膜をケアする
ストレッチだけでは補いきれない部分のケア、特に背骨周辺の筋肉をほぐすことにストレッチポールは最適です。
ストレッチポールを使って背骨周辺の筋膜をほぐせば、自然とその他の関節が調和して動きやすくなります。
実際にストレッチポールの効果を調べた様々な研究から、次のようなことも分かっています。
- 背骨を正しい位置に整える
- リラクゼーション効果が得られる
- 股関節や肩関節の可動域が上がる
- 呼吸しやすくなる


2.フォームローラーやボールで足裏や股関節周辺をケアする
現代人は座りっぱなしの姿勢の影響で、身体の前側の筋肉が固まってしまっています。そのような状態では、筋肉をバネのように使うことができません。そのため、フォームローラーやボールを使ってしっかりとほぐしてあげることが必要です。
3.静的ストレッチ
諸説ありますが、科学的には「静的ストレッチはリカバリーには役に立たない」と言われています。しかし、あくまでふかまる個人的な意見としては「静的ストレッチはリカバリーに有効」だと考えています。
なぜなら、「全身のリラックス効果」と「疲労のセルフチェック」に有効だから。
例えば、入浴後のストレッチをルーティン化してしまえば、リラックスして入眠へのスイッチが切り替わりますし、関節の可動域をチェックすることによって疲労具合を把握できます。



ストレッチを行うなら「ながらストレッチ」ではなく集中して行いましょう。
4.温浴(交代浴)
”交代浴”とは、温浴後に冷たい水を浴び、それを繰り返す入浴法。
温浴によって、血管を拡張させ、さらに冷水を脚や体にかけることで血管が収縮します。そうして血液の循環を促すことによって、身体の各部位の細胞に酸素を送ったり、筋肉にグリコーゲンを届けやすくしたりします。



私は休日は銭湯に行き、水風呂で交代浴をしています。気持ちもリフレッシュできてオススメです!
5.良い睡眠をとる
「なんだ睡眠かよ」と思われるかもしれませんが、睡眠はまさに身体の成長を促す促進剤。睡眠中にはタンパク質同化ホルモンやテストステロンや成長ホルモンが分泌され、筋肉や骨を修復します。
ヘンリー・フォード睡眠障害研究センターの研究によれば、睡眠不足だと痛みに敏感になることが分かっています。さらに高校生を対象にした研究では、8時間以下の睡眠はケガのリスクを高めることが示唆されています。



トップアスリートはもれなく睡眠時間を優先しています。忙しい方こそ睡眠を取りましょう!


まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランニングにケガはつきものとはいえ、正しい知識によって減らせるケガはたくさんあるはずです。
今回は正しい知識として、「ランニングでケガを防ぐための4つの考え方と対処法」やリカバリーの質を高める行動として「簡単セルフケア5選」をお伝えしてきました。
ケガが多いランナーやこれから本格的な走り始めるランナーの参考になれば幸いです。
それでは、また次回!