- 心拍数トレーニングのやり方を教えて!
- どんなペースで走ったらいいか分からない。
- トレーニングメニューの立て方が分からない。
今回はそんなお悩みを解決します。
- 心拍数を活用したトレーニングの必要性
- 心拍ゾーンの計算方法
- 心拍ゾーンを使った効率的な練習方法3選
本記事の執筆者

ふかまると申します。元箱根駅伝選手、ランニング歴は20年以上。小学生から大人まで指導経験があります。
トレーニング計画を立てる上でその人にとっての適切な負荷に調整することは重要です。
ランニングにとっての負荷とは「時間・頻度・速さ」のこと。走り慣れている方はこれらの負荷の細かな調整を感覚で行なっています。ランナーとして感覚を磨くことはとても大事なことです。
ですが、時として自分の感覚と身体の状態がアンマッチしてしまうことがあります。アンマッチすればトレーニングが過負荷になり、ケガのリスクが上がります。特にランニング初心者の方が感覚を頼り過ぎていると、ケガをしてしまう場合が多いです。
そこでランニング中の心拍数を可視化することができれば、自分の感覚だけを頼りにするのではなく、客観的な指標からペースをコントロールすることができます。つまり、心拍数はセルフコーチングをする上でもとても重要な指標と言えるでしょう。
そこで今回はトレーニングをする上で心拍数をどのように見ればいいのかを解説し、具体的なトレーニングメニュー例も併せてご紹介していきます。
心拍ゾーンとは
まずはトレーニングにおいて重要な心拍ゾーンについてお伝えしていきます。
最大心拍数(bpm=1分間で心拍する数の最大の値)に対して何%の負荷がかかっているかを5段階に分類したのが心拍ゾーンです。心拍ゾーンを参考に強度設定をすることで、効率的にランニングでのトレーニング効果を得ることができるでしょう。最大心拍数は”220-年齢”。例えば30歳の場合、「220-30=190」という計算式となります。
ゾーンと心拍数の関係は次の通りです。
ゾーン | 心拍数 |
---|---|
1(リラックス) | 95-114bpm |
2(イージー) | 114-133bpm |
3(モデレート) | 133-152bpm |
4(ハード) | 152-171bpm |
5(エキスパート) | 171-190bpm |
トレーニングの意図に応じて、ゾーンを使い分けることで適切な負荷をコントロールできます。つまり、「イージーな日はイージーに」「ハードな日はハードに」しっかりと負荷を調整することが大事ということです。
では、それぞれのゾーンでどのような効果が得られるのかをご紹介していきます。
【ゾーン1(リラックス):最大心拍数の50~60%】
リラックスした楽なペース。軽めのウォーミングアップやクールダウンに適しています。
【ゾーン2(イージー):最大心拍数の60~70%】←脂肪燃焼ゾーン
”人と会話が出来る”、”ややきついが心地よい運動”といったペース脂肪燃焼、心血管系強化、毛細血管の新生に適しています。
【ゾーン3(モデレート):最大心拍数の70~80%】
会話を続けるのがだんだん難しくなってくるペース。乳酸性作業閾値(LT値)の向上、技術的な練習に効果的。
【ゾーン4(ハード):最大心拍数の80~90%】
激しい呼吸をし始めるペース。乳酸性作業閾値(LT値)やスピード持久力の向上に効果的。
【ゾーン5(エキスパート):最大心拍数の90~100%】
長時間持続するのが難しいペース。最大酸素摂取量(VO2MAX)の向上、スピード強化に効果的。
目標心拍数が決めたらしっかりと範囲内に収まるように走ることが重要です。
心拍ゾーンを使った効率的な練習方法3選
心拍ゾーンを使ったトレーニングは目的に応じて行いましょう。今回は次の3つの目的に応じてトレーニング例をお伝えしていきます。(あくまで目安なので、ご自身の競技レベルや心拍数に応じて負荷を調整ください)
- 「体脂肪燃焼」
- 「マラソンレースに向けた基礎構築」
- 「マラソンレースに向けた強化」
「体脂肪燃焼」を目的とする場合
まずは「体脂肪燃焼」目的の場合をお伝えしていきます。
ポイントは次の通りです。
- ゾーン2〜3を中心にメニューを組む
- 楽すぎずキツすぎないことペース
基本的にはゾーン2(イージー)で長時間走り続けることで効果的に脂肪を燃焼させることが出来ます。個人的にはゾーン3(モデレート)くらいまでは許容範囲だと考えています。感覚的には“おしゃべりできるくらい~続けていると少しキツイ”くらいのペースです。ランニング初心者の場合は、周りの人よりも遅いペースで走ってもすぐに心拍数が上がってしまうことも多いと思います。かなり遅いペースに感じると思いますが、しっかり目標心拍数に合わせて走ることが大切です。
曜日 | メニュー | 心拍数(ゾーン) |
---|---|---|
月曜日 | 40分ジョグ | イージー |
火曜日 | 50分ジョグ | イージー |
水曜日 | REST | |
木曜日 | 40分ジョグ | イージー |
金曜日 | 40分ジョグ | イージー |
土曜日 | 90分ジョグ | モデレート |
日曜日 | REST |


「レースに向けた基礎構築」を目的とする場合
次に「マラソンレースに向けた基礎構築」目的の場合をお伝えしていきます。
ポイントは次の通りです。
- 普段のジョグはイージーの負荷になるようにペースを調整する
- ポイント練習はオーバートレーニングに気を付ける
心拍数が高かったらペースを落とすことが重要です。最初はかなり遅いペースになってしまいますが、周りは気にせず自分のペースで走るようにしましょう。走っていくうちに慣れてくれば同じ心拍数でも速いペースで走れるようになります。
曜日 | メニュー | 心拍数(ゾーン) |
---|---|---|
月曜日 | 50分ジョグ | イージー |
火曜日 | 1km×3 | モデレート~ハード |
水曜日 | REST | |
木曜日 | 50分ジョグ | イージー |
金曜日 | 50分ジョグ | イージー |
土曜日 | 10000mペース走 | モデレート |
日曜日 | REST |
「レースに向けた強化」を目的とする場合
最後に「マラソンレースに向けた強化」目的の場合をお伝えしていきます。ある程度基礎が構築されてきたら次は強化を行います。
ポイントは次の通りです。
- 普段のジョグはイージーの負荷になるようにペースを調整する
- 低い心拍数を維持しながら距離を伸ばしていく
- ペース走・距離走はなるべくモデレートの負荷で抑えられるようにペースを調整する
- オーバートレーニングに気を付ける
トレーニングは負荷と休養のバランスが重要です。しっかりとメリハリをつけて負荷を調整することでより高いレベルに上がることができます。
曜日 | メニュー | 心拍数(ゾーン) |
---|---|---|
月曜日 | 60分ジョグ | イージー |
火曜日 | 60分b-up走 | モデレート~ハード |
水曜日 | 40分不整地ジョグ | リラックス~イージー |
木曜日 | 60分ジョグ | イージー |
金曜日 | 60分ジョグ | イージー |
土曜日 | 16000mペース走 | モデレート |
日曜日 | REST | |
月曜日 | 60分ジョグ | イージー |
火曜日 | 1km×8 | ハード |
水曜日 | 30分不整地ジョグ | リラックス~イージー |
木曜日 | 60分ジョグ | イージー |
金曜日 | 60分ジョグ | イージー |
土曜日 | 20km走 | モデレート |
日曜日 | REST |
心拍数トレーニングの実践方法
心拍数を使ったトレーニングにはランニングマシンとランニングウォッチの組み合わせがオススメです。特に夏の暑い日のトレーニングは心拍数が上がってしまいがち。ランニングマシンで行うのも一つの手です。




まとめ
今回は心拍数を活用したトレーニングの必要性や実際のトレーニング方法をお伝えしてきました。
ランナーとして感覚を磨くことは重要ですが、セルフコーチをしている市民ランナーにとって、客観的なデータを活用することはもっと大事なことです。心拍数を活用して賢く効率的に強くなっていきましょう。
それでは、また次回!

